チュートリアル

チュートリアル1

「構成可能性を重視した分布定数系の制御系設計法」

主催・企画

計測自動制御学会 制御部門 制御理論部会

日時

3月8日(火) 10:00~11:40

場所

第B室

講師

椿野大輔(名古屋大学),橋本智昭(大阪工業大学)

概要

熱・流体の流動,柔軟構造物の振動,電磁場の変化など,工学で現れる多くのシステムは偏微分方程式で動特性が記述される分布定数要素を持っている.分布定数系の制御については,関数解析学に基礎をおく抽象的な枠組みが知られているが,その理解と実際の適用は必ずしも容易ではない.そこで,もし構成的な制御系設計法で,さらに設計法の理解や制御器の計算に多くの予備知識を必要としないような手法があれば,非常に有用であると考えられる.本チュートリアルでは,そのような制御系設計手法として近年注目されている,バックスステッピング法とモデル予測制御について,その考え方と実際の設計の流れを基礎から解説する.

プログラム

1. バックステッピング法に基づく分布定数系の制御と状態推定

椿野大輔(名古屋大学)

バックステッピング法は,もともと非線形集中定数系に対してよく知られた制御器設計法であったが,近年分布定数系に対する境界制御器および境界観測値を用いたオブザーバーの構成的な設計法として再定式化されている.この手法の特徴は,従来分布定数系の制御理論の枠組みであまり用いられなかった状態変換を用いることである.対象となるシステムを記述する偏微分方程式に対して,ある未定関数を含む特殊な構造をもつ状態変換を用いて,安定かつ解析が容易な方程式に変換できるように未定関数とフィードバック制御則を同時に決定する.これより構成的に制御系を設計することができる.本発表では,具体的な流れを,幾つかの分布定数系に対して実際に適用した例を示しながら解説する.

2. 分布定数系のモデル予測制御

橋本智昭(大阪工業大学)

モデル予測制御とは,最適フィードバック制御手法の一つである.現時刻から有限時間未来までの評価区間を設定し,時間が進むごとに評価区間を未来へ移動させながら,時々刻々と継続的に最適化問題を解きながら最適入力を更新することによって,フィードバック制御を行う手法である.一方,分布定数系は,その振る舞いが時間変数と空間変数の両方を用いて偏微分方程式で記述されるシステムである.本講演では,分布定数系に対するモデル予測制御系の設計法を解説する.問題の定式化・変分法による停留条件の導出・停留条件の数値解法といったモデル予測制御の一連の設計手順を,基礎的な部分に焦点を置きながら詳説する.また,近年行われた当該モデル予測制御手法の応用研究例をいくつか紹介する.

講師略歴

tsubakino

椿野 大輔(つばきの だいすけ)君

2011年3月東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了.北海道大学大学院情報科学研究科助教を経て,2015年10月より名古屋大学大学院工学研究科講師となり現在に至る.2013年11月から2014年8月までカリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員.2009年計測自動制御学会論文賞受賞.大規模システムの階層化最適制御,状態変換に基づく分布定数系の制御に関する研究に従事.計測自動制御学会,システム制御情報学会,日本機械学会,日本航空宇宙学会,IEEE の会員.

 

hashimoto

橋本 智昭(はしもと ともあき)君

2003年3月東京都立科学技術大学工学部航空宇宙システム工学科卒業,2004年3月同大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻博士前期課程修了,2007年3月同専攻博士後期課程単位取得後満期退学,同年9月同専攻博士(工学)取得.2007年4月理化学研究所脳科学総合研究センター研究補助員,2008年4月信州大学大学院工学研究科電気電子工学専助教,2009年5月大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻助教,2015年4月大阪工業大学工学部機械工学科講師となり現在に至る.2011年2月から同年8月までカリフォルニア大学バークレー校客員研究員.近年,モデル予測制御の設計論と応用に関する研究に従事.計測自動制御学会,システム制御情報学会、日本航空宇宙学会,日本機械学会,IEEEなどの会員.計測自動制御学会論文賞,同学会関西支部奨励賞,システム制御情報学会奨励賞,電気情報通信学会情報ネットワーク研究賞など受賞.

 


チュートリアル2

「超スマート社会に向けたシステム制御技術」

主催・企画

計測自動制御学会 制御部門 都市インフラシステム構築と制御調査研究会

日時

3月8日(火) 10:00~11:40

場所

第E室

講師

前田章(日立製作所/SICE会長),原辰次(東京大学),玉置久(神戸大学)

概要

 

プログラム

1. 超スマート社会実現のための情報・制御技術融合について

前田章(日立製作所)

超スマート社会実現のためには、人工知能やビッグデータ分析、クラウド・モバイルなどの情報技術・プラットフォームの活用と同時に、これらの情報技術を、実システムを安心安全かつ効率よく運用していくための制御技術と融合・連携させていくことが必要不可欠である。本講演では情報・制御技術融合に関する課題と今後の技術開発の方向性についていくつかの論点を提示する。

2. 超スマート社会に向けたシステム制御:グローカル制御の視点

原辰次(東京大学)

環境・エネルギー・医療といった社会的課題解決を意識し「超スマート社会」を実現をするためには,相互関連するそれらの課題を複合的かつ総合的に検討する必要がある.すなわち,新しいシステム設計の枠組みの構築が不可欠である.本講演では「グローカル制御」の視点で,その方向性を紹介する.

3. SoSA & CPS に係るシステム論

玉置久(神戸大学)

超スマート社会の実現に向けたシステム制御技術に関して、その基盤技術・要素技術という観点ではなく、SoSA (System-of-Systems Approach) や CPS with IoT (Cyber-Physical Systems with Internet of things) をベースに超サイバーシステムで目指すところを「システム」論的に整理・試案した内容を報告する。

4. パネルディスカッション

司会:滑川 徹 氏(慶應義塾大学)
パネリスト:前田 章 氏(日立製作所),原 辰次 氏(東京大学),玉置 久 氏(神戸大学)

講師略歴

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前田 章(まえだ あきら)君

1980年,東京大学大学院理学系研究科修士課程修了.81年日立製作所システム開発研究所入社.画像処理技術・知的情報処理システムの開発等に従事.2005年同所長.2013年より同社情報・通信システム社技師長.工学博士.

hara

原 辰次(はら しんじ)君

1976年 東京工業大学大学修士課程修了.1984年 東京工業大学助教授.1992年 同教授.2002年 東京大学教授,現在に至る.ロバスト制御,生体制御,グローカル制御,制御系設計などの研究に従事,工学博士.George S. Axelby Outstanding Paper Award (2006),SICE論文賞・教育貢献賞など受賞,2009年度SICE会長.2009, 2010年 IEEE CSS Vice-President.SICE・IEEE・IFACのFellow.

tamaki

玉置 久(たまき ひさし)君

1990年京都大学大学院工学研究科博士後期課程研究指導認定退学(電気工学専攻).同年京都大学工学部助手,1995年神戸大学工学部講師,1999年同助教授,2000年同教授.2010年より同システム情報学研究科教授,現在に至る.システム運用・計画問題の数理モデル化と解法,創発計算モデルによる問題解決の方法論などの研究に従事.博士(工学).計測自動制御学会,システム制御情報学会,電気学会,IEEEなどの会員.

namerikawa

滑川 徹(なめりかわとおる)君

1994年金沢大学大学院自然科学研究科システム科学専攻博士課程中退.同年金沢大学工学部電気・情報工学科助手.同講師を経て2002年長岡技術科学大学機械系助教授.2006年金沢大学大学院自然科学研究科電子情報科学専攻助教授.2009年慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科准教授,2014年同教授となり現在に至る.ロバスト制御理論,分散協調制御理論とそのネットワークロボティクス,電力ネットワークへの応用に関する研究に従事.博士(工学).

 


チュートリアル3

「プラントモデリングを支える機械学習と関連ツール群」

主催・企画

計測自動制御学会 制御部門 プランとモデリング部会

日時

3月8日(火) 12:40~16:20

場所

第F室

講師

大谷朝彦((株)IDAJ),栗原 康一((株)IDAJ),西純令(イータス(株)),中野浩(イータス(株)),岡部英幸(ダッソーシステムズ(株)),工藤啓治(ダッソーシステムズ(株)),山中健太((株)エー・アンド・デイ)

概要

 制御システム開発において,システムの振る舞いや,制約を記述した制御対象のプラントモデルを,制御系設計や検証・適合に活用され始めています.制御対象の振る舞いを,モデルという簡素化された数学的な表現にするには,保存則に基づいた物理モデル,計測データに基づく実験モデル(統計モデル),あるいは両者の組み合わせ(近似物理モデル)などのアプローチが知られていますが,いずれの場合においても,目的に合うモデルを得るには,計測データの活用が必要となります.
 近年は,自動計測システムから,あるいはインターネットや複数のセンサーから,大量のデータを容易に得ることが可能になってきました.このため,大量のデータから,有意な情報を抽出する労力の低減が,課題となっております.それを解決する手段のひとつとして,ニューラルネットワークやカーネル法,深層学習をはじめとした機械学習が知られています.機械学習の研究は1950年代からの歴史を持ちますが,計算機の処理能力向上と,ネットワークの高速化に伴い,再び注目されています.機械学習は,統計,確率,そして最適化などを組み合わせて構築されており,モデリングに活用していくには,原理や特徴に対する理解が重要となります.
 本チュートリアルでは,「プラントモデリングを支える機械学習と関連ツール群」をテーマにして,機械学習を活用したプラントモデリング環境と,それを支援する周辺ツール群を概観すると共に,適用例の紹介によって,最新ツールに対する理解を深めることを目的とします.

※    本チュートリアルの講演資料は,マルチシンポジウム予稿集に入っておりません.資料配布を希望される方は,お手数ですが,会場にて講演者に直接お申し出ください.

プログラム

12:37~12:40 開催案内と挨拶

PM部会主査:大分大学 松尾 孝美 氏(大分大学)
チュートリアル1,2司会:佐藤 正浩 氏((株)本田技術研究所)
チュートリアル3,4司会:於保 茂 氏(日本工業大学)

12:40-13:30 チュートリアル1:機械学習を活用した数理モデルとその活用事例のご紹介

大谷朝彦/栗原康一((株)IDAJ)

コンピュータの計算能力向上にともない機械学習が注目され,その関連技術が様々な分野へ適用されている.プラントモデリングの分野においてはカーネル法をもとにした数理モデルが活用されることが多い.そこで本チュートリアルでは,当社取扱い製品のmodeFRONTIERに搭載された応答曲面法の中から,それらの手法と適用事例を紹介する.

13:30-14:20 チュートリアル2:GPMを活用したモデルベース適合ツールと活用事例紹介

西純令/中野浩(イータス(株))

地球温暖化対策や公害対策として,エンジンにおけるエミッション規制はここ十年来厳しくなってきている.エミッション低減策として様々な電子制御装置が搭載された結果,開発現場では膨大な制御マップの最適化がより困難になってきている.独Robert Bosch社はこの問題を解決する為に,長年の研究の結果,GPM(Gaussian Process Model)を使用したエンジンの諸現象をモデル化する事によって,実機試験を減らしつつ,数学的知識を必要とせずに制御マップの最適値を探索する方法を確立した.ここでは『ASCMO』という製品を取り上げ,GPMを採用するに至った背景と,機械学習における産業への応用例について説明する.

14:20-14:40 休憩

講演会社のポスター展示をご覧ください.

14:40-15:30 チュートリアル3:プラントモデリングにおける不確かさを考慮した信頼性指標の導入と統計学習としての代理モデルの活用

岡部英幸/工藤啓治(ダッソーシステムズ(株))

 シミュレーションには多様な不確かさの問題がつきまとう.プラントモデリングを活用してバーチャル検証まで想定するとき,従来考慮されている1)結果精度の品質と,2)誤差に起因する性能バラツキ(いわゆるロバスト設計問題)に加え,3)設計プロセスやライフサイクルに内在する不確かさ影響を正しく扱う必要がある.特に,設計の早い工程で手戻りを最小にするための素性の良い設計案を導出するためには,理想として,後工程で決定されるであろう未確定仕様の影響,要求変更,過酷条件,経年劣化など,各ライフサイクルに内在する不確定要因リスクを漏れなく考慮した正しい意思決定が望まれる.
 本講演では,このような対策として活用できる技法と方法論として,プラントモデリングの代表的な言語Modelicaに搭載されている,Simulation toleranceによる影響を表現するためのVerification packageの解説,および,シミュレーションの不確かさを正しく想定し,統計的に取り扱う方法論の一つPCC (Probabilistic Certification of Correctness)指標について,その概要と適用事例を紹介する.加えて,統計学習としての近似モデルの例として,ニューラルネットワークを用いたRBF(Radial Basis Function)手法の特徴について紹介する.

15:30-16:20 チュートリアル4:適合解析ソフト EasyDoEの事例紹介

山中健太((株)エー・アンド・デイ)

 近年の排ガス規制の強化,燃費性能の要求によりパワートレーン制御は複雑,かつ高度なものになっています.これに伴い適合業務工数も指数的に増えることが予想され,解決手段の一つとしてModel Based Calibration (MBC) が期待されています.これは実験計画法(DoE)によって少ない計測データから高品質なモデルを生成し,モデルを使って入力因子の最適な組み合わせを求める手法ですが,モデルの種類,計測データの削減方法など専門的な知識と経験が要求されるためユーザをサポートするためのツールが必須となっています.本チュートリアルではDoE適合試験を効率化するためのDoEツール(EasyDoE)及び試験自動化ツール(ORION)の概要・特徴及び適用事例,を紹介いたします.

講師略歴

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大谷 朝彦 君

1982年大阪工業大学電子工学科卒.同年(株)日立製作所入社.自動車用エンジン制御システム開発に従事.2001年より(株)IDAJ (旧CDAJ)にてmodeFRONTIERのプロダクトマネージメントに従事.現在に至る.解析技術3部 主幹技術員(部長)

kurihara

栗原 康一 君

2007年神戸大学大学院自然科学研究科修了.2008年(株)IDAJ (旧CDAJ)入社.modeFRONTIERのサポート業務等に従事.現在に至る.解析技術3部

nishi

西 純令 君

1995年三ツ葉電機製作所(現 ミツバ)入社,エンジンスターターモータの耐久性実験業務に従事.2001年イータス入社 モデルベース開発ツールの顧客サポート業務に従事後,ハードウェアインザループシミュレータの顧客プロジェクトを担当,営業職を経て2016年度よりマ ネージャ職.

nakano

中野 浩 君

1991年オーテックジャパン入社,主に少量生産特殊車両の試作業務に従事.その後モータースポーツ関連の職を経て,2000年よりイータス入社 自動車用計測・適合ツールの技術サポート業務を担当.現在に至る.

okabe

岡部 英幸 君

東京大学大学院工学系研究科産業機械工学専攻修了.製造業向けのCAD/CAM/CIM/PLM関連業務に携わった後,ダッソーシステムズ入社し, 欧州およびアジアの顧客を中心にシステム・エンジニアリングやモデルベース開発に関わるソリューション展開に従事.

kudou

工藤 啓治 君

北海道大学理学部物理学科修了.HPC/CAE利用支援,最適設計支援技術の促進に従事し,現在,ダッソーシステムズ(株)SIMULIA事業部にて,シミュレーション業務の効率化と品質向上のためのビジネス開発コンサルティングに従事.

yamanaka

山中 健太 君

東京農工大学電気電子工学科卒.株式会社エー・アンド・デイに入社.以来,一貫して自動車メーカ向けのソフトウェア開発に従事. エンジンベンチ試験の自動計測システム(ORION)の開発,自動車メーカ出向を経て現在はベンチ統合開発環境(iTest-LA)の開発を担当.