ワークショップ

ワークショップ1

「マルチエージェントシステムの制御―IoT/CPS時代の制御理論」

主催・企画

計測自動制御学会 制御部門 事業委員会

計測自動制御学会 制御部門 SICEネットワーク上の制御と信号処理調査研究会

日時

3月10日(木) 9:00~15:40

場所

第B室

講師

永原正章(京都大学),石井秀明(東京工業大学),林直樹(大阪大学),桜間一徳(鳥取大学),東俊一(京都大学),畑中健志(東京工業大学)

テキスト

本チュートリアルは下記の教科書の内容に沿って行われます.

東・永原(編著),マルチエージェントシステムの制御

概要

計算機の小型化・高速化と無線通信の高信頼化により,制御システムをネットワーク化して分散的に制御するようなシステムが近年特に重要性を増している.例えば,センサネットワークやスマートグリッド,IoT (Internet of Things), CPS (Cyber-Physical Systems) などがその例として挙げられる.それらをうまく操るためには,制御理論の観点からネットワークの構造を考慮したアプローチが有効である.
このような制御理論は「マルチエージェントシステムの制御」として,最近,制御工学の分野で盛んに研究されている最先端の課題であり,SICEマルチシンポジウムでも多くの研究発表がある.しかし,その研究をはじめるための基礎知識の習得は,現時点では独学に頼らざるを得ない.
本ワークショップでは,この分野で国際的に活躍している5名の研究者によるリレー講義を行う.大学院学生や若手研究者,企業の技術者を対象に,初めてマルチエージェントシステムの制御を学ぶ人が研究レベルまで進むための道筋を示し,基本的な概念や数式の意味をわかりやすく解説する.前提となる知識は,大学学部レベルの線形代数,微積分,古典・現代制御論である.マルチエージェントシステムの制御に関する研究のスタートラインに受講者を導くことが本セミナーの目標である.

プログラム

9:00-9:20 ネットワーク上の制御と信号処理

永原正章(京都大学)

「計測自動制御学会ネットワーク上の制御と信号処理調査研究会」の紹介と本ワークショップの概要について説明する.

9:20-10:20 「マルチエージェントシステムの制御」概論

石井秀明(東京工業大学)

本講演では,マルチエージェントシステムの総論を提供する.まず,マルチエージェントシステムのさまざまな応用例,例えば自律移動型ビークル群やセンサネットワークなどを紹介し,こうしたシステムが持つ特徴や課題を考える.電力システムや複雑ネットワーク科学等の分野との関連についても触れる.また,エージェント間の情報交換や相互作用と,その結果として得られるネットワーク構造をモデル化するためにはグラフが有効である.マルチエージェントシステムをより一般的に扱うことのできるグラフによるモデル化について説明する.

10:40-11:40 線形代数とグラフ理論

林直樹(大阪大学)

マルチエージェントシステムの協調制御では,エージェント間でどのように情報を共有すべきかについて考えることが重要である.本講演では,エージェント間の「つながり方」を数学的に扱う上で必要となる線形代数とグラフ理論について紹介する.

11:40-12:40 合意制御

桜間一徳(鳥取大学)

本講演では,マルチエージェントシステムの合意制御について概説する.合意とは,エージェントがネットワーク上で情報を交換しながら状態変数を漸近的に一致させることである.ネットワーク上で得られる情報のみを用いた制御器を分散制御器とよぶ.ここでは,線形な分散制御器を用いた場合に合意が達成されるための条件を,ネットワーク構造を表すグラフによって特徴付ける.ただし,グラフの頂点はエージェントを辺は情報交換経路を表す.これによって,合意制御による収束条件をグラフにおける概念と関連づける.

13:40-14:40 被覆制御

東俊一(京都大学)

空間上にエージェントを指定された分布で配置する制御のことを被覆制御という.本講演では,まず,被覆制御問題の定式化を紹介する.つぎに,問題を解くにあたって重要な概念となるボロノイ図と勾配系を説明し,被覆制御を実現する方法を示す.

14:40-15:40 分散最適化

畑中健志(東京工業大学)

分散最適化とは,ある最適化問題における制約条件と評価関数に関する情報の一部だけを知る複数のエージェントが,近傍との情報交換を通じて,その状態を最適解へと収束させることを目指す最適化法であり,マルチエージェントシステムの制御の枠組みで定式化することができる.本講演では,このようなマルチエージェントシステムを用いた分散最適化についてわかりやすく解説する.具体的には,劣勾配法について述べた後,代表的な分散最適化手法である双対分解法および合意制御にもとづく方法を紹介する.

講師略歴

永原正章

永原 正章(ながはら まさあき)君

1998年3月神戸大学工学部卒業,2000年3月京都大学情報学研究科修士課程修了,2003年3月同博士後期課程修了,博士(情報学),同年4月同研究科助手,2007年4月同助教,2012年10月同講師となり現在に至る.1999年計測自動制御学会学術奨励賞,2012年計測自動制御学会学会賞(論文賞),2012年IEEE Control Systems Society Transition to Practice Award,2014年電子情報通信学会通信ソサイエティ論文賞 (Best Tutorial Paper Award)等を受賞.ディジタル信号処理,最適制御,スパースモデリングなどの研究に従事.IEEEの上級会員 (Senior Member), SIAM, SICE, ISCIE, IEICEの各会員.

 

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石井 秀明(いしい ひであき)君

2002年トロント大学電気工学科博士課程修了.2001年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 Coordinated Science 研究所ポスドク研究員.2004年東京大学 大学院情報理工学系研究科 システム情報学専攻 助手.2007年東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 准教授となり,現在に至る.Ph.D. ネットワークを介した制御系,マルチエージェント系,制御システムのサイバーセキュリティ,電力システムなどの研究に従事.2015年 IEEE Control Systems Magazine Outstanding Paper Award 受賞.システム/制御/情報学会,IEEEの会員.

 

林直樹

林 直樹(はやし なおき)君

2011年 大阪大学 大学院基礎工学研究科 博士後期課程修了,2011年 京都大学大学院情報学研究科 研究員,2012年 大阪大学 大学院工学研究科 助教となり,現在に至る.博士(工学).分散制御,協調制御に関する研究に従事.2015年計測自動制御学会関西支部 支部長賞,2010年 電子情報通信学会 学術奨励賞,2009年 テレコムシステム技術学生賞等を受賞.

桜間一徳

桜間 一徳(さくらま かずのり)君

2004年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士後期課程修了.同年電気通信大学大学院電気通信学研究科電子工学専攻助手.2007年助教を経て,2011年から鳥取大学大学院工学研究科機械宇宙工学専攻准教授となり,現在に至る.博士(情報学).マルチエージェントシステムの分散制御器設計の研究に従事.2014, 2015年計測自動制御学会制御部門大会賞を受賞.計測自動制御学会,システム制御情報学会,日本ロボット学会,IEEEなどの会員.

 

東俊一

東 俊一(あずま しゅんいち)君

1976年7月24日生.  2004年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士後期課程修了.同年 日本学術振興会特別研究員,2005年 京都大学大学院情報学研究科助手, 2007年 同 助教,2011年 同 准教授となり現在に至る.この間,2004年11月~2005年8月 ジョージア工科大学客員研究員,2009年4月~2010年3月 ペンシルバニア大学客員研究員.ハイブリッドシステム制御論の研究に従事.博士(工学).2005年,2008年,2014年 計測自動制御学会論文賞,2011年 同学会 制御部門パ イオニア賞,2014年 システム制御情報学会 学会賞 論文賞などを受賞.   IEEE,計測自動制 御学会などの会員.

 

畑中健志

畑中 健志(はたなか たけし)君

2007 年3月京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻博士後期課程修了.同年4月より東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助教,2015年1月より同准教授となり現在に至る.ネットワーク化ロボティクス,エネルギー管理システムの研究に従事.Passivity-Based Control and Estimation in Networked Robotics (Springer)およびマルチエージェントシステムの制御(コロナ社)の著者.博士(情報学).2014年計測自動制御学会制御部門パイオニア賞,2009, 2015年度計測自動制御学会論文集論文賞,10th ASCC Best Paper Prize Award受賞.

 


ワークショップ2

「制御における知財と特許」

主催・企画

計測自動制御学会 制御部門 事業委員会

日時

3月10日(木)  9:00~12:20

場所

第C室

講師

佐田洋一郎(山口大学知的財産センター),田中雅人(アズビル株式会社),出口欣高(日産自動車株式会社)

※3番めのご講演の講師が西羅光様(日産自動車株式会社)から出口欣高様(日産自動車株式会社)に変更になりました.

概要

研究者にとって,査読付き学術論文公表が主たる研究成果であることは間違いありませんが,一方で,昨今では,特許を通じて自分の成果や発明をいち早く社会に還元する, と同時に,そのアイディアの源泉は自身であるということを主張するということも重要になってきています.ただ,物性や機構などとは異なり,制御に代表されるような「考え方」は,特許として主張しにくい部分でもあります.
 そこで,本ワークショップでは,制御の研究者や技術者が,自分のアイディアなどを特許・知財として活かすために,どのようなことに気をつけたら良いか,どのようなものが特許になりやすいか,またはなりにくいか,といったような,制御と特許・知財にまつわるお話しを,ご経験豊富な方々にご講演いただきます.もちろん,大学関係のみでなく企業の方々にとりましても特許や知財という題材を通じて,産学連携を考えるきっかけとして,本ワークショップにご参加いただけることを期待しています.

プログラム

9:00-10:00 ゼロから学べる知的財産~研究者・技術者が知っておきたい知的財産の知識

佐田洋一郎(元特許庁審議官,現在山口大学知的財産センター教授)

いい研究成果がでていながら、特許を取得する観点が適切でなく,宝の山が雲散霧消していることが少なくないようです.大学や企業の研究・開発現場では、そのことをしっかりと理解し,対応する必要があります.知財の見方や考え方がわかれば難しいことではありません.そこで、特許庁で33年間,特許の審査・審判を行ってきた経験、および 現在山口大学で知財センターの統括をしている立場から,実際の発明品等を使って知財の見方や考え方を分かりやすく解説します.聴講された皆様にとって,知的財産の基本的知識、特許取得の秘訣,実践的活用のノウハウ等々、きっと役立つ情報を得ることができます.初めての方にもわかりやすく解説しますので,振るってご参加下さい.

 

10:10-11:10 技術者によるBtoB制御ソリューションの戦略強化

田中雅人(アズビル株式会社)

プラントオートメーションやファクトリーオートメーションで採用される制御技術の多くはPID制御であり,コントローラサプライヤによるBtoBの技術供給ということが背景にある.この場合,BtoBの制御ソリューションはビジネス手段なのであり,その知財権は技術者によるビジネス戦略強化であることを理解しなければならない.そこで,制御技術がビジネスの戦略性にどのように関連してくるかを,技術者の視点から解説する.

 

11:20-12:20 自動車制御における知財と特許 

出口欣高(日産自動車株式会社)

電気自動車に代表される「電動化」と,自動運転に代表される「知能化」の研究開発が近年盛んにおこなわれている.いずれの分野においても制御技術の役割が高まっていると同時に,制御技術に関する知財と特許の重要性も増している.
そこで本講演では,1)自動車における制御研究の動向と制御特許出願の動向,2)日産自動車における特許出願と制御特許出願事例紹介,3)産学共同研究の際に注意すべき特許・知財の観点について紹介したい.

 

講師略歴

佐田先生

佐田 洋一郎(さた よういちろう)君

昭和45年通商産業省, 昭和47年 特許庁出向, 昭和51年 特許庁審査官(土木,建築,事務機器,農水産), 平成 8 年 特許庁審査部審査長(応用光学), 平成10年 特許庁審判部審判長(土木建築), 平成13年 特許庁審判部部門長, 平成16年 山口大学教授(知的財産部門長併任), 平成18年 山口ティー・エル・オー取締役(兼任),  平成23年山口大学学長特命補佐, 平成24年山口大学研究推進機構知的財産センター長 , 平成26年山口ティー・エル・オー代表取締役社長  (兼任), 現在に至る
[委員など]
山口県「元気企業サポート委員会」委員(平成16年5月~), 山口県「知的財産活用支援推進会議」委員(平成16年6月~),「大学知財管理・技術移転協議会」理事 (平成16年9月~),「大分県ビジネスグランプリ」ベンチャー目利き審査委員(平成16年10月~), 宇部市「特許権取得支援事業費補助金交付審査会」委員(平成17年1月~), 中国経済産業局「中国地域知的財産戦略本部」本部員(平成17年8月 ~), 発明協会山口県支部(現 一般社団法人山口県発明協会)理事(平成18年6月~), 宇部商工会議所「新製品・新技術推薦奨励制度」審査委員長(平成18年7月~),  特許庁大学知財アドバイザー派遣先選定評価委員会委員(平成19年4月~),  文部科学省「現代的教育ニーズ取組選定委員会」委員 (平成19年4月~), 鳥取県「ビジネスプランコンテスト」審査委員長(平成21年9月~), 山口県教育委員会「目指せスペシャリスト」研究開発事業委員長(平成21年1月~), 九州経済局戦略的教育支援プログラム策定・普及事業委員 (平成22年7月~), 宇部市「宇部元気ブランド」認証委員(平成22年8月~), 中国経済産業局「特許等取得活用支援事業」選定委員長(平成25年4月~), 経済産業省「産学連携評価モデル・拠点モデル実証事業」審査委員 (平成25年6月~), 内閣官房知的財産戦略本部委員(平成27年10月~)  
[その他]
他大学知財講師(大分大学工学部,MOT、同志社大法科大学院)(平成16年度~), 特許庁「中小中堅企業の特許戦略研究会プロジェクト」リーダー(昭和55年度), 経済産業省「中小・ベンチャー企業における知的財産の活用方針に関する研究会」委員長 (平成17年度)
[著作物]
中小企業の特許戦略①~③技術開発の成功条件,過程,戦略(発明協会発行 中央大学経済学部斎藤優教授との共著)(昭和56年10月), 初めて知財を担当する人のために大学知財の基礎入門(経済産業調査会)(平成 20年7月),  産学連携活動と特許法(特許庁技術懇話会誌) (平成23年5月)
[書籍監修]
中小・中堅企業の技術開発と特許戦略  (昭和55年3月), 大学と研究機関のための『知的財産教本』 (平成16年4月), 大学研究者・学生・知財実務者のための『特許読本』(平成18年3月), 大学と研究機関、技術移転機関のための『知財契約の実践的実務マニュア ル』(平成23年6月)

 

田中様

田中 雅人(たなか まさと)君

1983年東京工業大学工学部機械物理工学科卒業,1985年同大学院修士課程修了.同年京セラ(株)入社,電子部品の製造装置開発に従事.1988年山武ハネウエル(株)(現アズビル(株))入社.現在,アズビル(株)の技術開発本部にて調節計,空調などの制御技術開発に従事.電気学会,計測自動制御学会会員.

 

deguchi

出口 欣高(でぐち よしたか)君

1992年東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻修士課程修了。同年、日産自動車株式会社に入社。総合研究所にてエンジン制御、ハイブリッ ド電気自動車制御、電気自動車制御、音振制御などの自動車の電子制御研究に従事。その後、研究戦略企画、シリコンバレー研究所開設、自動運転 研究に携わり現在至る。